中学1,3年生や高校1年生が現在学習中の「素数」についての話です。
<素数とは?>
ふつう,数は,自分自身よりも小さな数のかけ算の形にいろいろと表すことができます。
例えば,36という数は・・・・・
36=6×6 36=12×3 36=18×2 などのように,いろいろと形を変えることができます。しかし,これらをさらに細かく,
36=6×6=(2×3)×(2×3)
36=12×3=(2×2×3)×3
36=18×2=(2×3×3)×2 のように,これ以上分解できなくなるまで細かく分けていくと,最後にはすべて,36=2×2×3×3 という形になります(1はいくつかけても変わらないので,この場合考えません)。
このように,すべての数は,これ以上分解できないかけ算の形に1通りに表すことができ,このとき現れる「これ以上分解できない数」のことを「素数」,数を素数に分解することを「素因数分解する」といいます。
素数とは,1と自分自身以外には約数をもたない数のことです(1は素数に数えません)。すべての物質が原子という基本元素からなるように,すべての数は素数という数の元素から構成されているのです。
<素数はどれくらいあるか?>
自然界の構成要素である原子の個数は高々100いくつ(現在予測されているのは173番まで)ですが,素数はどれくらいあるのでしょうか。
結論から先にいうと,素数は自然数と同じように,無限にあるのです。「1と自分自身以外に約数がない」という,ある意味とても限定された条件をみたす数が無限にあるというのは,ちょっと信じがたい気もします。しかし,これは今から2300年も昔のギリシャ時代,すでにユークリッドが「原論」という本の中で見事に証明しています。けっして難しい証明ではないので下にのせました。興味のある方はご覧になってください。(特に高校1年生)
<素数が無限にあることの証明> 背理法(高校1年で学習)
素数が有限個しかないと仮定する。
最大の素数をPとして,Q=1×2×3×4×・・・×P+1という数を考える。
Qを素数とすると・・・・・・Pが最大の素数であるということに矛盾。
Qが素数でないとすると・・・・・・QはP以下のいずれかの素数で割り切れるはずだが,Qの形より,Qは2からPまでのすべての数で割り切れないので矛盾。
いずれにせよ,矛盾。
これにより,素数が有限個であるという最初の仮定があやまりであることがわかる。 よって,素数は無限にある(証明終了)
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